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札幌にて

 先週の木曜日、金曜日にお休みを頂いて、学会に行ってきました。学会というのはほとんどが平日の後半に開催されますので、開業すると中々行けなくなります。医院を休めば患者さんに迷惑がかかります。病院で勤務しているときは他の先生に代役を頼めますが、開業すれば一人ですから頼める人もいません。また勤務医のときは病院から出張費を出してもらえましたので、費用の面でも助かりましたが開業すれば全部自腹です。ですので学会に行くというのは相当の思い切りがいります。でも新しい知識を得るためにはやはり必要です。今回8年ぶりに行くことにしました。
 私は元々膝関節が専門でしたので、今回も札幌で行われた膝関節メインの学会に参加しました。アカデミックな討論や発表をみていると、昔研究や手術に明け暮れていたころのことがよみがえり、懐かしく、そしてそこから取り残されていきつつある自分というのを感じます。他方、iPS細胞を使った関節軟骨の再生の研究や、難治性の疾患を根治させる薬の展望など、これから治療の幅が広がりそうな話もきけて、有意義な学会参加であったとも思います。
 学会では、昔一緒に膝関節について研究し、手術を行った先輩や後輩も参加してきます。何年かぶりの再開を果たし、夜は一緒に飲んで楽しく過ごしました。でも私も含め集まっている面々は平均50歳をこえる歳になり、私が師匠と慕っている先生も、来年からは後輩に学会参加の枠を譲って、自分は病院で留守番するんやー、と言われていました。世代交代ですね、と皆でいいながら、人生を折り返しつつあるなあと考える一日でした。
 大阪へ帰る飛行機の窓から北の大地を眺め、「もしかしたらこれで北海道へくるのも最後かもしれないなあ」と思いました。いつ終わりがくるか、わからない人生。日々を大事に過ごしていこうと思うこの頃です。

 師匠と慕う先輩が、とある場所で引用されていた、井伏鱒二の詩集の一節。

「この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ」

 
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