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是か、非か [医療]

 何をもって是とし、何をもって非とするのか。最近考えるときがあります。

 臍帯血を使った再生医療の触れ込みで、違法行為を行ったとして医師らが逮捕されました。営利を追求し、実証のないことをあるようにみせかけた行為については論を待たないところですが、不治の病に冒された人にとって、実証がなくても可能性がゼロでないものがあるのなら、それに賭けてみたいという気持ちを否定することはできません。実証のないことを人にする場合は、やる側の知識と技量、そして良識が大事かと思われます。今回医師が逮捕されたことについては、同職として情けない思いです。そういうことをする場合はかならずデータをまとめ、専門識者の集まる場で結果を公表し、評価を受ける。そしてそれを実証して確固たるものにする。そういうことを義務化したらいいのでは、と思います。

 「遠隔医療」という言葉が最近私たちの周りで盛んにでてきます。SNSやネットを駆使して、医療機関のない僻地や、交通の便のないところにおられる方の診療を行う、というのが元々の趣旨であったかと思います。これがアベノミクスにより、都市部であっても求めに応じてやってもいいし、それに対して診療報酬で評価をつけよう、という動きが加速しています。なぜ安倍政権が推し進めるのか。それは医療をビジネスチャンスにできるからです。医師が患者さんを診るときは見て聞いて触るというのが基本です。状況に応じて遠隔医療を行うことは悪くはないと思うのですが、病院に行くのが面倒だから、仕事が忙しくて病院があいている時間にはいけないから、24時間いつでも見てほしいから、といった理由で遠隔医療が皆さんに認知されてしまうと、色々な問題が生じると思います。遠隔医療のシステムを医師一個人が作り上げることなどできませんから、一般の民間企業がシステムを構築し、医師を雇う(ここがポイントです。医師は会社の雇われ人になるということです)。画面越しの診療では判らないことがたくさんあります。おそらく日によって担当医はかわり、見解の相違が生まれる。そして見落とし、誤診。裁判となれば、責任は医師なのか。複数担当医がいるならば、誰に責任が生じるのか。それともシステムを作り、医師を雇用した企業なのか。揉めることは必至です。また、「看取り」もスマホ越しにしてもいいのではという話もでています。あなたや、あなたの身内が亡くなるとき、見たこともない医師からスマホの画面越しに「ご臨終です」といわれる時代がくるかもしれません。もっと悪く言えば、画面の向こうの人間が、医師かどうかも確認できないのです。

 岩盤規制の筆頭と揶揄される医療の世界。規制緩和は世の流れですし、専門家からみてできるところはやればいいと思います。でも経済を優先しすぎて、一般企業の金儲けの手段に医療をしてしまってもいいのかどうか。

 是か、非か。でもそれは民主主義の日本ですから、みんなで考えて決めていくしかないのでしょう。

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